見えざる世界

マジックショー?!

商売をしている家庭に育った。
その事は自身の人間形成に大きく影響を与えていると思う。

両親は、事業等の岐路に立つと、とある先生の処を訪ねてはお伺いを立てる事があった。多くの人が早朝から深夜まで、その先生にお伺いを立てるために列を成していた。

で、私が初めて両親と一緒に伺わせて頂いたのは、小学校に入るかどうかの頃であったと記憶している。

母はマンションの一室を貸していたのだが、どうやら家賃が滞納していたらしく困惑し、賃借人の住所、氏名、そして生年月日を「紙」に記し、その方の前に恐る恐る差し出た。
すると眼光鋭い黒羽織を召したその先生は、無言で「紙」の周りを万年筆でクルクルとなぞり始めた。そして「あゝ、この人はとんでもない嘘つきだ。どうした?」と。
それを受けて母は「そうなんですよ、実は・・・」と事実を告げる。
「こんな人に貸す方が悪い。お金は返って来ないから早く出て行って貰いなさい」と。
話は以上で終わり、後はその為の御作法の指示が出されて終わり。

実際のその先生との遣り取りはほんの5分程度であったが、私は小学校1年でマジックショーを目の当たりにした。
これは何だ?何でだ?

そして、その後も何度も母に帯同し、数々のマジックショーを目の当たりにした。
そして、小学生ながら悟った。
「嘘はバレる、ヤバい」と。

この歳になるともう少しカッコ良い言葉、
「天網恢々疎にして漏らさず」
「壁に耳あり障子に目あり」
となるのであろうが、小学一年生には強烈な体験であり、世の中に「見えざる世界」がある事を知らされた。

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